咲き誇る花には圧倒する力があるが、枯れゆく花には、涙とともに心の慰めを与えてくれるように思う。
花びらを支える花托(かたく)を見て欲しい。
一本の、残りわずかな花びらを支えるために、全身全霊で、残りのすべての花びらを犠牲にしてでも、いのちの限りを尽くして、養分を送り届けている。
そこからは、いのちのしずく、植物の血である、養分が滲み出て、輝いている。
最後の一瞬まで、いのちを輝かせるために、諦めないその姿。
枝を切られ、水を絶たれ、光を絶たれ、養分を絶たれ、
長くは生きられないことをもう悟っているであろうこの花は、
誰も見向きもしない、捨てられるだけの花であったとしても、
それでも自ら枯れゆくことを選んではいない。
最後の一瞬まで、身を削り、いのちを輝かせるための、精一杯の努力をしている。
私にははたしてそれができるだろうか。
おそらく、できないと思う。
枯れた花にしか、分かってもらえない心がある。