本当に加茂の職人方のお力添えには頭が下がります。それなくしては今の凛舟は絶対に存在しませんでした。
加茂は箪笥の名産地です。かつて、箪笥は嫁入り道具として、終生持つことの出来る高価な品でした。実際、メンテナンスさえすればそのような耐久性があるそうです。
同時に、それは職人の人生を賭けた「一品」でもありました。もちろん、永年メンテナンス付き。ものを売って終わり、ではなく、一生のお付き合いのスタートです。現在のような、数年持てば良い、壊れたら粗大ゴミ、とりあえず見た目が美しく派手で、宣伝文句とマーケティングが付加価値を生む、という考え方とは、完全に一線を画していました。
この地区では、職人はいつも刃物と向き合っていますから、一度や二度、指を飛ばしてしまうことが本当にあるそうです。「指を1本くらいなくしたらやっと一人前」などということが言われたくらいだ、という話を聞いてびっくりしました。
そういう、本当に身を削る思いをして作った貴重な一品が、それなりの値段をするのは当然と言えます。ところが、親方の嘆きは「本当に良い仕事をしている商品が売れるとは限らない」とのこと。「宣伝」が上手なところが、結局売り上げを出していきます。
だから「今の時代のニーズを組んで、流れに合わせなきゃ、商売は成り立たないよ」というのが、当然の結論として出てくるわけですが、その陰には、「正直者が報われない」悲しい現実があるのもまた真理です。本当の付加価値とは、そういう思いがこもったものであるはずなのに、その想いすら、宣伝文句をフェイクにすることでなんとでもできてしまう。作り手と話をすることもなく、バーチャルな「一品」が値段で選ばれてしまう。
使い捨て文化、むしろ所有すらしないレンタル文化になってきて、「愛がないものから捨てていけばよい」という整理術がもてはやされる昨今。
しかし、伝統工芸品は本当に高価なのか?そこを冷静に考えてみる必要があります。3年持てば良いという仮に3万円の小型クローゼットを一生使い続けると、平均寿命80年として、80万一生で使うわけです。購入代金のことだけでなく、そのゴミの始末と地球環境破壊ということを考えると、その損失はそんなものではすまなくなります。
一方で、仮に50万の箪笥を80年使い続けても、永年メンテナンスがありますので、総額で50万というのは変わりません。何より、その間全くゴミが出ないばかりか、近隣の森林の新陳代謝に一役買うので、良いことづくめです。
私も、中学生の時に買ったギターを今でも愛用しています。もう30年近く使っていることになりますが、立派な現役です。楽器はこれが成り立つのだから、音響機器にもできるはず・・そこが私の今のチャレンジです。
職人の命と引き換えに作られた、愛の込められた一品は、その価値が分かる人のところにこそ、伝わっていくのだと思います。たとえどんなに時間がかかろうとも、どんなに大変であっても、これをやめてしまったら、日本の伝統工芸の心は死んでしまいます。協力してくれている人々の顔を思うとき、何が何でも成功させなければ。日本で理解されなければ、世界に出て行って理解できる人がいるところまで探し求める。それも口八丁でなく、真実を伝えることを。それが私の使命だと思っています。
Kamo, Niigata is famous for Tansu (chest of drawers). It used to be very precious, used for lifetime. Craftsmen put all energy and soul to make it, and it was not rare that they lost their fingers. After sellling Tansu they used to offer free lifetime maintenance. . Now there're lots of cheap, low quality Tansu which only lasts for a few years, and many of them are out of business...but we should seriously consider what is most "effective" way of using money.
If we buy $300 cheap tansu which lasts only 3 years, in 80 years of lifetime he will spend $8000 . Not only that, it would cause natural disaster, environmental pollution, and garbage.
If we buy $5000 tansu with free maintenance, in lifetime he only spends $5000. And that would even contribute to forest metabolism.
I really want to emphasize how special that craftsmanship is, and want to deliver products to those who understand its value, no matter how hard it is, and how long it takes. It delivers love and truth in the end, and I know that is my job.