福島潟は蓮の終わりかけです。先日のコンサートで話した内容を簡単にまとめてみます。
福島潟は今オニバスの花の時期を迎えています。
オニバスは、被子植物の原始の植物でありながら、昨今の環境変化のために、現在では絶滅危惧種に指定されています。
福島潟のような湿地にはいろんな生き物がいます。
湿地は「多様性」の塊です。水草、プランクトン・・食物連鎖の底辺にあるさまざまな生き物が生息します。
ただ、同時に湿地は、土を盛ると簡単に家や工場になってしまうのでもっとも簡単に開発されてしまいます。そうすると、陸から、いきなり海となり、生物の多様性がなくなってしまいます。
その結果、さまざまな生き物が生きられなくなり、食物連鎖の上にある、虫や鳥にまでその影響は及びます。それが、やがては大規模な環境変化へとつながっていきます。
今日はお台場を歩いておりましたが、お台場も、海水ビオトープを作ったり等、少しずつ本来の干潟の姿を取り戻すべく、努力が続けられているようです。
人間は、地球の生き物、自然の恵みを頂いて生きているわけですから、その恵みに感謝して、正しく管理するものとなりたいですね。
ところで、オニバスというと、トゲトゲの葉が近づきがたい印象を与えますが、他にもいろいろと面白い特徴があります。
種が、なんと50年、長いものにあると百年、千年という単位で、「時を待つ」ことができるのです。そして光や水といった環境が整うと、発芽することができます。
また、最近の研究でわかってきたことのようですが、生存競争で葉が他の葉と重なり合った時には、光が取れないので、残りの株を生き残らせるために、自らを枯らすという知恵があるそうです。
時を待つ、ということは私たちにはなかなかできないことです。
しかし、トゲや、時を待つ力、自らを枯らす知恵、そういったものがオニバスに備えられていたからこそ、原始植物で、決して環境変化に強い生き物ではないにもかかわらず、ここまでオニバスは生きながらえてこられたのではないかと思います。
私のような環境変化に弱く、都会のスピード感についていけない人間であっても、そういう人間だからこそ新潟の自然豊かな地で、備えられた恵みを頂きながら生きていく道が残されていたことは、本当にありがたいと思います。